旧搬器との出会い

 ロープウェイは昭和30年代のレジャーブームに数多く建設されましたが、それらも開業してから40〜50年経つことになります。鉄道が新型の車両に替えられるようにロープウェイの搬器も架け替えられたりします。昭和のロープウェイを追い求めている自分としては、古い絵葉書などで見た事がある、架け替えられる前の搬器に憧れがあり、この目で実物を見てみたかったといつも思っていました。それがロープウェイに乗りに行くと駅の空地などに旧搬器が保存されている事がよくあり、予期せぬ出逢いに歓喜する事があります。保存というよりただ放置してあるような場合も少なくなく、雨ざらしになり錆びて退色している搬器を見ると切ない気持ちになったりもしますが、それでも実物を見れた事は嬉しいものです。ここではそんな自分が出会えた現存する旧搬器の様子をレポートします。

伊香保ロープウェイ

 山麓駅の裏手にある駐車場に旧搬器の「もみじ」と「つつじ」が2台並んで置いてあります。退色がはげしく錆びも進んできています。この画像の奥の所に山麓駅があるので、まるでこの2台が現役のロープウェイを毎日ここから見守っているかのようです。

比叡ロープウェー

 比叡ケーブルカーの山頂駅とロープウェイの山麓駅との間にポツンと保存されている初代搬器です。過去に何度も塗り替えられていたようですが、最後は人造人間キカイダーの様はデザインにされてしまったようです。残されていたのは一台だけでした。

長崎ロープウェイ

ロープウェイの駅の近くの宝珠幼稚園の敷地に初代搬器の2号車「つる」が残されていました。現在は幼稚園の遊戯道具などを保管する物置として使われていました。とてもユニークなデザインです。最近の搬器とくらべるとちょっと重たそうに見えます。

箱根ロープウェイ

 箱根ロープウェイの姥子駅を出た所に初代搬器本格的に同体保存されています。ちゃんと懸垂機の部分もあるのが嬉しいです。階段を上がって上の部分も観察できるようになっています。昔の小田急ロマンスカーと同じ配色がなつかしいです。

 ちなみに全線が最新式のフニテルに架け替えられた現在、姥子駅には初代搬器の横に2台目の搬器も並べられて保存されています。

谷川岳ロープウェー

 谷川岳ベースプラザの入口のまん中に旧ゴンドラが置かれています。これは初代ではなく2代目の2線自動循環式の時のゴンドラです。定員8名のゴンドラが61台あったそうです。秒速4mで循環式では当時世界一の早さだったようです。2005年9月13日に最新式のフニテルに架け替えられました。

摩耶ロープウェー

 六甲有馬ロープウェーの有馬温泉駅側の駐車場で発見した搬器です。駐車場の料金所になっていました。始め初代の六甲有馬ロープウェーの搬器かと思いましたが、どう考えても小型すぎるので、どこか他で使われていた物ではないかと察します。どなたか御存知でしたら情報をくださいませ。


 その後2013年7月28日にブログのコメント欄において、ぴちゃぴちゃんさんが駐車場の方に伺い、これが摩耶ロープウェーの搬器だと確認して知らせてくださいました。自分の絵葉書コレクションをチェックしたら、塗装はちがいますが確かに間違いないようです。ありがとうございました。 (2013年11月26日)

書写山ロープウェイ

 書写山ロープウェイの山麓駅から歩いて15分ぐらいの所にある真愛幼稚園の敷地の中に2代目の搬器が倉庫として使われて残されています。1977年から1992年に現在の新しい設備ができるまで使われていたようです。これは2号車の「そよかぜ」でした。「鉄道データファイル」によるともう1台の「さちかぜ」は腐食が激しくて解体されたそうです。

善光寺ロープウェイ

 長野県須坂市にある某日帰り温泉施設から街道沿いにちょっと先に行くと、工事用のシャベルカーなどが置いてある私有地の中に物置小屋代わりに使われていたと思われる善光寺ロープウェイの搬器(1号車、愛称「とがくし」)が放置されています。かなり傷んでおりますが現役の頃の面影は今でも十分見受けられます。

昇仙峡ロープウェイ

 山麓駅の入り口左側に初代ゴンドラが設置してありました。中に入ることもできます。1964年11月の開業から1988年に現在のゴンドラに架け替えられるまで活躍。ある時期に愛称が「ふじ」から「オールリ」(もう一台は「らかん」から「やまばと」)へ変更されたようです。現在のCWA製のゴンドラは「ふくちゃん」「ゆめちゃん」と愛称は受け継いではいない。近畿車輌製。

(2008年11月11日)

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