吉野山ロープウェイ

 前日仕事で新大阪に滞在していた自分は次の日、御堂筋線で天王寺へ行き、近鉄阿部野橋駅から急行に乗り吉野へ向かいました。戦前に開業した数少ないロープウェイの一つで、戦争中に「不要不急」という理由で、そのほとんどが廃止に追い込まれた中、山村に住む人々の交通手段ということから廃線を免れたそうです。よってこれが現存する日本最古のロープウェイになります。

 近鉄吉野駅を出てまっすぐ進むと右前に山麓の千本口駅が見えてきます。「レトロ」というより「昭和ロマン」を感じる木造駅舎がステキです。  ここの特徴のひとつがホームでして、搬器が入り込む溝が通常よりもかなり浅く、階段ホームとの段差がほとんどありません。

 チケット売場もありましたが、混雑時以外はこのようにホーム内でおばさんが直接チケットを販売しているようでした。  普通は山頂へ向かって左側にある搬器を1号車としますが、ここは逆で右側が1号車でした。

 1号車の「かえで」で山頂の吉野山駅へ向かいます。出発してすぐに最初の支柱を通過。なんといってもこのロープウェイの特徴は、2本の支索の間にハンガーが走行している事で、それに伴って支柱の形も両脇からロープを支えている様になっています。しばらくすると旅館のような建物の横を通過していきます。

 支柱は全部で5本。その一本ずつに「会社名 吉野大峯ケーブル(株) 建設年月 昭和3年5月」というサインが取り付けられている。(開業は昭和4年3月)  二つ目の支柱を越えるとまもなく中間地点になり、2号車の「さくら」とすれ違います。搬器の床が段差になっており、傾斜のある形はロープウェイにしては珍しい。

 三つ目の支柱に差しかかると高低差がほとんどなくなり山裾に添って登ってゆきます。その為に搬器を引っぱる曳索や平衡索が地面すれすれになるので、それを受ける溝のある車輪が各支柱に設けてあります。最後の二つのの支柱はまるで門のような形をしています。

 そして山頂の吉野山駅がもうすぐです。搬器のハンガー部分が短いせいか駅の屋根も通常より低めです。山麓駅と同じでこちらも溝が浅いホームでした。

 ロープウェイのホームにはあまり番号がついているところはないと思いますが、ここは1、2、3と番号があります。搬器の両側に扉があるので混雑時などは両脇のホームも使用するのかもしれない。

 改札口を出ると長い階段を登ります。御年配の方にはちょっとしんどいかも。  時代を感じさせる改札口の木製の柵がステキです。

 この風景も開業当時からさほど変わってはいないのではないでしょうか?  ここから奧千本行きのバスに乗換えたりします。

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