千光寺山ロープウェイ

 昭和32年(1957年)3月25日に開業した、今でも昭和の雰囲気が色濃く残っているロープウェイです。尾道のゆったりした時間の流れに逆らうことなく町の空気に溶け込んで動いていました。大きな仕事を終えて落ち着いた自分は、休みの日の早朝、東京から新幹線に乗り福山で下車、そこから在来線の山陽本線に乗換えて尾道駅へ。以前から乗ってみたかった念願のロープウェイにやっと乗ることができました。

 JR尾道駅からバスで長江口まで約5分。(歩いても行けます。)バス停横にある電車の線路の下を抜けるとすぐにロープウェイの駅が見えます。駅の左横は艮神社(うしとらじんじゃ)。ロープウェイの乗り場は3階でチケットを買ってから長い階段を登っていきますが、建物の反対側にエレベーターもあります。

 見てください!この昭和レトロな搬器を。この搬器は2代目のようで「東京索道、昭和56年3月製造」と書かれていました。でもスタイル的には昭和40年代頃の雰囲気があります。あと懸垂器のところも昔のままでとても素敵です。ウィキペディアによれば昔は赤と白だったそうですが、2003年に当時の市町の発案で現在のパステルグリーンになったそです。ちなみに尾道バスも同じ色でした。

 一見搬器に愛称が見当たらなかったので、ないのかと思いましたが、扉がある反対側の車体にローマ字で「SAKURA」「KAMOME」と小さく黒字で書いてありました。「さくら」「かもめ」は初代搬器から受け継いでいるようです。まずは「かもめ」号で山頂に向いました。31人乗りで添乗員のおねえさんがガイドをしてくれます。駅を出発すると艮神社の上を通過してゆきます。そして左側に「さくら」号と交差。

 そして尾道の象徴とも言うべき千光寺境内の真上を通過して行きます。参拝用に作られたロープウェイは沢山ありますがお寺の真上を通過するロープウェイはここだけじゃないでしょうか?なかなかドラマチックです。支柱を越えると勾配がなだらかになり山頂駅が目の前です。

 山頂駅に到着!ここからの眺めがまた素晴らしい。山頂と言っても標高136メートルぐらいなので見下ろす町並みが近く感じます。

 千光寺境内に行くには山頂駅から歩いて少し下りなくてはなりません。そのままロープウェイに戻らずゆっくり歩いて山を下りる人も多いようです。  山頂駅を出て正面に円形の食堂と展望台があります。360度に広がる景色はとても写真では伝えられない素晴らしい眺めでした。写真には写っていませんが右横にお土産屋さんもあります。

 千光寺の境内は格好のロープウェイ観察スポットでもあります。本堂から眺めるもよし、真下から見上げるもよし、のどかな尾道の町を背景にゆったりと動いているロープウェイは眺めていて飽きる事がないような魅力がありました。

 今度は「さくら」号で下りて行きます。出発して支柱を越えると急に急勾配になります。ガイドでは「27度20分」だと言っていました。

 そして千光寺の真上を通過します。  「かもめ」号と交差。

 片道約3分なのであっという間に到着です。ここのロープウェイは15分ごとの運行でした。それに往復440円は安い!5回乗っても2200円でした。メジャーな観光スポットだとロープウェイも最新型を導入したりする事が多いのですが、古いモノを大切にしている尾道という場所にはこのレトロなロープウェイがホントによく合っています。僕が求めている昭和のロープウェイがこれほど良いかたちで保存されている場所も珍しく、とても貴重だと思いました。

(2008年9月4日)

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