野村トーイ ロープウェイ

 野村トーイから発売されたロープウェイのおもちゃです。単一乾電池2本で動くモーターが小屋に内蔵されていて、金具のフックがついている専用のてぐすに2台のゴンドラを引っ掛けて動かす仕組み。レバーでモーターの回転方向が変わるので、それで2つのゴンドラを往来させる交走式。上から降りてきたゴンドラが下に到着すると、てぐすに付いている金具がギアを押して停まるようになっている。そして発車のベルが鳴り続けます。レバーを反対方向に向けると、今度はさっき降りてきたゴンドラが上がっていきます。ゴンドラのまわりの部分はブリキ製ですが上の部分と底はプラスチックで作られている。おもちゃの材質がブリキ主流の時代からプラスチックになる転換期の頃だった影響ではないかと察する。1960年代後半頃の商品だと思います。

 ロープを動かすモーターが内臓されている駅舎です。搬器の大きさと比べると小ぶりなのですが、ちょっとロッジ風で、斜の赤い屋根などロープウェイの駅の雰囲気がよく出ています。  この搬器のデザインが昭和30年代のロープウェイらしくて魅力的である。たとえおもちゃでも2台の搬器が交差するロープウェイの醍醐味がちゃんとあります。

 ブリキの窓に描かれたお客さんの絵が楽しい。子供の頃は気がつかなかったが顔がどことなくみんな外人風。たぶんこの頃でも輸出用としての役目があったのでしょう。箱には英語で「BI-CABLE AERIAL ROPEWAY」と書かれている。(ブリキのおもちゃ関係の本を読むと、戦後日本はおもちゃの8割を海外に輸出していたそうです。)ちゃんと1号と2号の絵が違う。ロープウェイに乗っている時の楽しい雰囲気がよく出ています。自分はブリキのおもちゃコレクターではないですが、やはりブリキ印刷の魅力とか、当時のデザイナー(というより職人さんという感じでしょうか...)のセンスの良さを感じずにはいられません。

 さて、このおもちゃには1つ謎がありまして、自分は2セット所有しているのですが、一見同じデザインの箱でも印刷されている取り扱い説明図の滑車のデザインが違うのです。両方とも実際に付属されている物は左の写真、つまり下の左側の図と同じ物でした。自分はネット上で何度もこのおもちゃを拝見していますが、右下のデザインの滑車をまだ見た事がない。実際に作られたのであろうか?もしかしたら試作段階で左の物に変更になっても箱のデザインはしばらくは変更前のまま印刷され、後に修正された可能性が一番高いと思います。

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