比叡ロープウェイ

 神社仏閣のような文化財的なものではなくても、このあたりは古いモノを大切にする気持ちがあるせいか、ローカル線の駅舎やケーブルカー、ロープウェイの駅など昔のまま残されていて、今の時代では決して作りだせない風格みたいなものがあちらこちらに漂っている。そんな昭和の雰囲気が息づく素敵な場所でした。

 自分は仕事で泊まった天満橋から京阪電車に乗り出町柳へ、そこから比叡電車に乗換えて終点八瀬比叡山口に到着。そこからケーブルカーに乗り「ケーブルひえい駅」を降りると「ロープウェイひえい駅」は目の前。

 ケーブルカーの駅もそうでしたが、この駅のたたずまいが何とも言えない魅力をかもし出している。それこそ昭和30年代から何も手直ししていないような雰囲気である。この壁の色使い、木やトタンの質感。窓枠や年期の入ったコンクリートの色。故意に残しているのか単に予算がないだけなのかわかりませんが、経営元の京福電気鉄道に感謝します。これで搬器も古いやつだったらもう言うことなかったですね。

 ケーブル・カーと統一されたデザインの搬器です。この日はあいにくの悪天候で、本来なら山頂の駅まで見渡せるはずなのですが霧で一寸先も見えない状態でした。

 窓のガラスに水滴が付いていて交差する搬器すらうまく撮影できない。「比叡山頂駅」も古びた感じが素敵な駅でした。ここから京の町が見おろせるはずだったのに...。

 とりあえず駅を出てみる。「ガーデンミュージアム比叡」というのがあったが入場料¥1000なので入らなかった。お寺も興味がないので、係員のおじさんにお願いしてロープウェイの駅に入れてもらってビデオ撮影したりロープウェイの出発や到着の様子を見て楽しんでいました。

 山の天気と女心はなんとやらで、しばらくすると霧がだんだん晴れてくるじゃあ〜りませんか!下界の街も見えてきました。待ってましたとばかりに下りのロープウェイに乗り込みました。

 途中の支柱や下の駅も見えました。これこそ古い絵葉書で見た光景である。数十年前の絵葉書とくらべると家が増えていて木々が成長しているが基本的にはまったく変わっていない。以前からその古い絵葉書を見て、いつかここに来てみたいと思っていたので感激である。山麓の駅では健康的でチャーミングなおねえさんが1人で仕事をしていました。若くて将来がある娘さんがなんでこんな時代に取り残されたような場所で仕事をしてるのか気になってたずねてみたらアルバイトだと言っていました。そういえばこの日は日曜日だった。「京福電鉄でよく募集していますよ。」だって。と言うことはこの僕でもロープウェイの仕事ができるって事?一瞬ホントに今の仕事を捨てようかと思いました。

 「ロープウェイひえい駅」の横に昭和31年製の旧搬器が同体保存というか放置してありました。古い絵葉書で見て気に入っていたこいつに会えるとは思わなかったのですごく嬉しい!自分はこのロープウェイの古い絵葉書を数枚持っているのですが、何度も塗り替えされていたようです。これは多分架け替えになる前の最後のデザインなのでしょうが、なんか「キカイダー」みたいな配色でかわいそう。(そしてキカイダーを知っているあなたは若くない)でも昔の搬器特有のこの丸みをおびた感じがやっぱりかわいいですね。これは1号器で2号器は見当たらないからたぶんスクラップにされちゃったんだろうなあ。

 今回撮影した画像の中で一番気に入っているヤツです。これ実は男性トイレの窓からの眺めなんです。真横から駅を眺望できるのは僕が知る限りココだけでした。男に生まれて良かった。

(2006年9月10日)

古い絵葉書コレクションから

戻る
inserted by FC2 system