三重県/御在所ロープウエイ

 浜松で仕事を終えた自分はそこで一泊して、次の日の早朝6時8分の東海道本線で名古屋に向かい近鉄に乗り換えて湯の山温泉へ。以前からずっと訪れてみたかった御在所ロープウエイにやっと乗ることができました。印象的な真っ赤なキャビン、スリリングなルート、まさにロープウェイの醍醐意味に溢れているという感じでした。

 温泉街のバス停から坂道を登って7分ぐらいすると御在所ロープウエイの湯の山温泉駅が見えてきます。駅前は広い駐車場になっていて、ツアーバスなどはここまで来てくれるようです。今年(2009年)は開業50周年で記念の旗などがかかげられていました。向かって左側にはパン屋さんやそば、うどんなどの軽食の店、おみやげ屋さんがあります。往復2100円はちょっと高いと思いましたが実際に乗ってみると、そのスケールの大きさや設備に対して納得できるような気がしました。自分は思いきって年間パスポート12000円を購入!これで気兼ねなく何度も乗れます。

 いよいよ出発です。この駅の感じ、昔の箱根ロープウェイと似ています。「鉄道データファイル」によると今では複線自動循環式はここと宮島ロープウェイだけだそうです。貴重ですね!  駅を出発して3つ目の支柱を越えるまでは、わりと普通な感じです。ガイド放送は無線で送られてきて所定箇所にくるとその場所の説明が入るようになってます。

 左側に温泉街の建物を見下ろしてゆきます。緑の山に真っ赤なキャビンが映える。10人乗りで28両から最大38両まであるそうです。  3つ目の支柱を越えるといきなり谷の深いところになり、かなりスリリングな状況になってきます。このロープウェイのハイライトです。

 日本一の高さを誇る第6支柱。61メートルあるそうです。これだけ真っ白に塗ってあります。湯の山温泉駅に着く前の電車からも、遠くの山にこの支柱が確認できました。  その第6支柱を越えると山頂駅はもうすぐです。

 キャビンを降りて階段をあがるとすぐにかえりの乗り場があります。 その先の通路を進んでいくと山上食堂と売店があります。そのまた先を行くと外の展望台やリフト乗り場などがあります。 

 売店で売っている御在所ロープウエイのチョロQです。チョロQよりもこのラックの上の大きな模型が欲しいです。  御在所岳の山頂展望台からは伊勢湾など雄大な景色が広がります。

 ちょっと先の小高い山までリフトで行くことができます。お天気のいい日ならきっと気持ちがいいでしょう。自分はリフトには興味がないのでパス。  かえりの乗り場の改札を通ってすぐのところの窓がちょうど山頂駅の真上でキャビンが出入りする様子が観察できる最高のスポットでした。

 さあ今度は下って行きます。まずは真っ白な第6支柱に向かっていきます。山頂付近は山の岩肌にいろんな表情があって面白いです。秋は紅葉がものすごく綺麗なことでしょう。

 自分が感じるロープウェイの魅力の一つに滑車があります。滑車がロープを伝っていく感じがいいんですね。最近は動いているロープ1本(もしくは2本)で、それを掴んで進んでゆくタイプが多くなってきていますが、なんかメカとしてつまらない。

 ちょうど中間あたりにある支柱は「中間索碇所」といって、山麓から山頂まで支索が一本ではなく、ここで繋ぎあわせていてキャビンは支索を乗り換えているんですね。つまり上り線2区間、下り線2区間の4区間になっているのですね。

 自分はどこだかわかりませんでしたが、名古屋駅のツインタワーや空港も確認できるらしい。天気がいいと富士山も見えるとか。  最後の支柱を越えるともうすぐ山麓駅です。

 最新式のスムースなロープウェイも悪くはないですが、自分はこのロープウエイのような支柱を通過する時や、出発や到着時にガタガタガタと器械の音がする方が魅力があります。

 箱根ロープウェイも谷川岳ロープウェーも最新式のフニテルになってしまい、こういう旧式のロープウェイは珍しくなってしまいました。自分のように昭和のロープウェイの面影を追い求めている者には御在所ロープウエイはたまらなく貴重に感じました。旧式といっても設備のメインテナンスなどが常に行き届いているようで安心感があります。現在のキャビンは平成元年に取り替えられた CWA製なのですが、どことなくレトロな雰囲気があるのが不思議です。もうお願いだから絶対に将来フニテルなんかにしないで欲しい。いつまでも複線循環式を残していってもらいたいです!

 最後に、自分が訪れた時ある従業員の方が「ブログとか書いてる方ですよね?」と自分に声をかけてくださり、とても御親切にお話を聞かせてくださいました。そして特別に運転室などをちょっとだけ見学させていただきました。もう最高に嬉しかったです。自分はロープウェイとはまったく違う仕事をしているので、なんか強い「あこがれ」を感じました。この日はたっぷりと6往復して幸せな気分で山を後にしました。

(2009年9月10日) 

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ちなみに「鉄道データファイル」286号に御在所ロープウエイの詳しいデータが載っています。
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