KIRINJI/ロープウェイから今日は

 友だちや仲間からは自分のロープウェイ好きはよく知れわたっていまして、先日も仕事の代講をした御礼にこんなCDをいただきました。キリンジというミュージシャンの「DODECAGON」というアルバムの中に「ロープウェイから今日は」という歌が収録されています。それでロープウェイ好きの僕にあげるしかないと思ってくれたのでしょう。自分はジャズやミュージカルのサントラ盤なんかを聞くので日本のアーティストの音楽は知識が無くてよくわかりませんが、あまり歌の歌詞に「ロープウェイ」が登場する事はないのではないか?(昔レナウンのCMソングで「ロープウェイに冬がくりゃイェイイェイイェイ....」といのがありましたが....)ましてやタイトルに「ロープウェイ」という言葉がつく事はまずないでしょう。さて、何はともあれ6番目に収録されているこの曲を聞いてみたらとてもいい雰囲気の曲でした。歌詞の雰囲気から感じとれるのは、若者が天気のいい日にぷらっと近場の山にハイキングに来たような情景が浮かびます。

 最初の「丘を越えて 森を抜けて 谷を渡り 沢を登る...」というところが多分ロープウェイに乗っている情景でしょう。

 その後の「やぶれた帽子、つぶれた靴、黒い鞄、村は沈んだ...」というあたりがちょっと自分にはよくわからないのですが、よく谷間の村がダム建設などでなくなるので、そんな人工湖のほとりでのんびりしている風景なんだと思います。

 さて、その後にやっとロープウェイという言葉が出てきます。(待ってました、この言葉の響き!)「揺れるロープウェイから誰に手を振ろう 人見知りの男もアメリカ人のように今日は、と声かける コ・ン・ニ・チ・ワ!」これスゴクよくわかりますよ!ロープウェイじゃなくてもハイキングで山道を他人とすれ違う時わりと自然に「こんにちは!」て言えるから不思議である。ロープウェイというのは自然の中にあるので、そういう場所に来た時の人の心が穏やかになっている情景がこの詩からとてもよく伝わってきます。あとすれ違う反対側の搬器(ゴンドラ)に乗っている人に手を振ったりもしますよね。自分はこのサビの歌詞のところが、いつもロープウェイに乗りにいった時の楽しい雰囲気が思い出されてとても気に入ってしまいました。

 その後「冴えるアンダースロー 水を切り裂き 向こうの岸辺に とどけ hopping stone 」これはもう湖で石を投げて遊んでいる情景ですよね。自分はロープウェイオタクなので山頂からロープウェイを観察したり写真をとったり何往復も乗ったりしていて、あまり景色を見てる時間がないのでそういう事はしませんが、でも普通の人が自然の中でくつろいでいる状況は想像できて共感はできます、ハイ。

 最後に「今日の行方を見届けて 街へ帰ろう 街へ帰ろう 明日が僕を待っている」で終ります。ココの歌詞もたまらなくいいですねえ。山の夕暮れは早くて、午後4時も過ぎると淋しくなってきて帰りたくなってくるものです。ロープウェイも夜景が見える場所でもなければ大体夕方5時前には最終になりますからね。自分も朝からロープウェイに乗りに来て山が夕日色に染まる頃、なんとなく切なくなって「さっ帰ろう、明日は仕事だ!」て思います。そんな心境がこの歌詞からも感じます。いくらロープウェイ好きでも山は住むところじゃないんですね。そこはやっぱり都会人なんです。

 この曲が自分のようなロープウェイオタクの状況を歌ったものではないのは百も承知ですが、普通の人が非日常的な場所でのんびりと過ごす時の楽しい雰囲気や、オタクじゃなくてもロープウェイに乗る時のちょっとワクワクするような感情が伝わってきてきます。なのでこの曲を自分がロープウェイに乗りに行く時のテーマソングにしたいと思います。

(2008年5月20日)

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